特別企画

香港映画発展史探究


主催: 国立映画アーカイブ  福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ実行委員会
特別協力: 康樂及文化事務署香港電影資料館

Special thanks to Hong Kong Film Archive, Leisure and Cultural Services Department



会期:2月2日(水)~3月6日(日)※休館日・休映日除く
観覧料:600円(大人)500円(大学生・高校生)400円(中学生・小学生)  

※各回入替制。
※チケットはすべて当日券。前売り券はありません。(チケットの販売は上映の1時間前からです。)
※障がい者の方及び福岡市在住の65歳以上の方は300円。(手帳や保険証の原本の提示が必要です。)
※「わたすクラブ」会員の方は300円。(会員証の原本の提示が必要です。)


女性の光 女性之光
監督:高梨痕 出演:李綺年 鄺山笑

2月24日(木)11:00
2月26日(土)11:00
3月3日(木)11:00

1937年/デジタル/モノクロ/84分/日本語字幕付き

兄から強いられた裕福な工場主との結婚を拒否した陸慕貞は、別の男性と恋に落ちるも…。女性の自立をテーマとした物語で、男性の支配に抗い、女性のための職業訓練校を設立し、自由と平等を目指した女性を描く。監督の高梨痕(ガオ・リーヘン)は邵(ショウ)兄弟らと上海で1925年に天一影片公司(1937年に南洋影片公司と社名変更)を創設し、中国映画の初期から活躍した俳優兼社会派の監督。主演の李綺年(レイ・イーニン)は香港映画最初のスター女優と称される。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品
© Shaw Movie City Hong Kong Limited (邵氏影城香港有限公司) / Donor: Mr Jack Lee Fong of Palace Theatre, San Francisco, USA (美國三藩市華宮戲院方創傑先生)

秘めたる想い 長相思
監督:何兆璋 出演:周璇 舒適

2月25日(金)11:00
3月2日(水)11:00
3月6日(日)14:00

1947年/デジタル/モノクロ/101分/日本語字幕付き

抗日戦線で戦う夫からの便りを貧困に耐えながら待つ妻と、夫の友人で彼女を支え続ける男を描くメロドラマ。国共内戦のため、多くの上海の映画人が香港に逃れてきたなかで作られた。妻を演じたのは上海映画の名作『街角の天使』(1937、袁牧之(ユアン・ムーチー))などで知られる大スターの周璇(チョウ・シュアン)で、本作で披露する「夜上海」や「花樣的年華」も大ヒット曲となった。撮影途中で監督の張石川(チャン・シーチュアン)が対日協力者として告発されたため、娘婿の何兆璋(ホー・ジャオジャン)が継いで完成させた。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品

黄飛鴻正伝 鞭風滅燭(べんぷうめっしょく)の巻【修復版】 黃飛鴻正傳又名鞭風滅燭
監督:胡鵬 出演:關德興 曹達華




2月19日(土)11:00
3月4日(金)11:00
3月6日(日)11:00

1949年/デジタル/モノクロ/77分/日本語字幕付き

新聞小説を原作に、実在した医師にして武術家の黄飛鴻(ウォン・フェイホン)を初映画化。トラブルに悩む町民を助けて黄飛鴻が弟子の梁寬や鬼脚七らとともに悪党を懲らしめるという物語に、武術家たちを配役して本格的な拳法を取り込み、クンフー映画の源流となった。胡鵬(ウーパン)=關德興(クワン・タッヘン)コンビによるシリーズ作は1967年まで59本続いたうえ、關は他監督作も含め黄飛鴻役を1980年代初頭まで演じ続け、香港随一のヒーローとして親しまれた。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品

寒い夜 寒夜
監督:李晨風 出演:吳楚帆 白燕




2月19日(土)14:00
2月25日(金)14:00
3月5日(土)14:00

1955年/デジタル/モノクロ/136分/日本語字幕付き

中国現代文学を代表する巴金(ぱきん)の同名小説の映画化。出版社で働く汪は、妻への愛と母親との絆の間で引き裂かれて葛藤する。1950-60年代に文芸メロドラマ路線を担った李晨風(レイ・サンフォン)が、五四運動から抗日戦争へと続く激動の時代を生きる男の宿命を人物の感情に寄り添った画面構成で描いた広東語映画黄金時代の代表作。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品

蝶影紅梨記(ちょうえいこうりき)[修復版]  蝶影紅梨記
監督:李鐵
出演:任劍輝 白雪仙




2月18日(金)14:00
2月26日(土)14:00
3月4日(金)14:00

1959年/デジタル/モノクロ/145分/日本語字幕付き

1950年代に粤劇(広東オペラ)と粤劇映画の最盛期を牽引した劇作家の唐滌生(トン・テッサン)が、男役スター・任劍輝(ヤム・キムファイ)と相手役・白雪仙(パク・シュッシン)の人気コンビと組んだ代表作の一篇。学者は詩をやり取りして宮廷女官との恋を育むが…。的確なカメラワークと編集を活かして演出した李鐵(レイ・ティ)は、粤劇映画から現代劇まで幅広い作風で活躍した広東語映画の名匠。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品

野バラの恋 野玫瑰之戀
監督:王天林
出演:葛蘭 張揚




2月12日(土)14:00
2月23日(水・祝)14:00
3月3日(木)14:00

1960年/デジタル/モノクロ/134分/日本語字幕付き

Courtesy from © Cathay-Keris Films Pte. Ltd

一世を風靡した歌う映画スター、葛蘭(グレース・チャン)がファム・ファタール的なナイトクラブ歌手を演じた代表作。歌劇「カルメン」とドイツ映画『嘆きの天使』(1930、ジョセフ・フォン・スタンバーグ)を下敷きにアメリカ映画風のルックで描き、服部良一による華麗な歌曲も際立つ。王天林(ウォン・ティンラム)は広東語や厦門語などによる作品も手がけた娯楽映画の名手で、1970年代にTV界に転じて林嶺東(リンゴ・ラム)や杜琪峰(ジョニー・トー)など多くの後進を育て、実子の王晶(バリー・ウォン)も監督として活躍。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品

英雄本色 英雄本色
監督:龍剛
出演:謝賢 石堅




2月16日(水)14:00
2月23日(水・祝)11:00
2月27日(日)14:00

1967年/デジタル/モノクロ/124分/日本語字幕付き

金庫破りの罪での服役を終えた李卓雄は、黒社会のボスからの誘いを拒むが、弟が悪の道に引き込まれ…。社会派リアリズム映画を得意とする龍剛(ロン・コン)が、元受刑者の更生をテーマに取り上げた。犯罪アクション映画としての見応えとともに、社会復帰を支援する機関も描き、社会的弱者の捉え方も興味深い。後に大幅なアレンジを加えリメイクされた作品が『男たちの挽歌』(1986)である。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品

(とう)夫人 董夫人
監督:唐書璇 出演:盧燕 喬宏




2月17日(木)14:00
2月20日(日)11:00
3月5日(土)11:00

1970年/デジタル/モノクロ/96分/日本語字幕付き

南カリフォルニア大学で映画製作を学び、“香港ニューウェーブ”の先駆とも評される女性監督・唐書璇(トン・シューシュン)の初監督作にして代表作。17世紀の中国西南部の村を舞台に、貞淑と恋情で板ばさみになる董夫人の苦悩を、繊細かつ大胆な心理描写によって描き、国際的にも高く評価された。プロデュースも自ら行った唐は、資金不足による度重なる撮影中断を乗り超えて完成させた。サタジット・レイ作品の名キャメラマン、S・ミットラが屋内場面を撮影。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品

忠烈図[4K修復版] 忠烈圖
監督:胡金銓 出演:喬宏(ロイ・チャオ) 白鷹




2月16日(水)11:00
2月18日(金)11:00
2月20日(日)14:00

1975年/デジタル/カラー/107分/日本語字幕付き

© King Hu Foundation USA (美國胡金銓基金會)

大胆なアクション演出で武侠映画の頂点を極め、世界的に高い評価を受ける胡金銓(キン・フー)の代表作。7人の精鋭たちが、多勢の「倭寇」を相手に策略や裏切りの心理戦と、激しい戦闘を繰り広げる。若き日の洪金寶(サモ・ハン クレジットでは朱元龍)が武術指導を担うとともに、「倭寇」のリーダー役で出演。生前に監督から香港電影資料館に寄贈されたオリジナルネガなどをもとに、2021年に新たに作製された4Kデジタル修復版を日本初上映する。
※康樂及文化事務署香港電影資料館収蔵作品

Mr.Boo ! ミスター・ブー 半斤八両
監督:許冠文 出演:許冠文 許冠傑(サミュエル・ホイ)




2月3日(木)11:00
2月5日(土)11:00
2月10日(木)11:00

1976年/35ミリ/カラー/99分/日本語字幕付き

© 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

嘉禾電影有限公司(ゴールデン・ハーベスト)で製作されたホイ3兄弟の一連のドタバタ・コメディは香港で大ヒットを記録し、広東語現代劇再興のきっかけとなった。長兄である許冠文(マイケル・ホイ)は、TVの人気司会者から映画界に入り、矢継ぎ早に繰り出すギャグやパロディを通して香港庶民の喜怒哀楽を描き続けた。1979年日本公開時のバージョン(字幕版)による上映。
※国立映画アーカイブ収蔵作品

跳灰 ジャンピング・アッシュ 跳灰
監督:梁普智 蕭芳芳 出演:蕭芳芳 嘉倫




2月13日(日)11:00
2月17日(木)11:00
3月2日(水)14:00

1976年/デジタル/カラー/85分/日本語字幕付き

『風の輝く朝に』(1984)で知られる梁普智(レオン・ポーチ)の監督デビュー作で、犯罪や捜査のリアルな描写や、ロケ撮影の多用、素早い編集など、従来の香港映画にはなかった革新的な映像によって、“香港ニューウェーブ”の開幕を高らかに告げた。製作した繽繽影業(バン!バン!フィルムズ)は、広東語映画のスター・蕭芳芳(ジョセフィーン・シャオ)が設立したプロダクションで、蕭は共同監督、脚本も担当し、主人公の刑事の恋人役で出演もしている。タイトルの「跳灰」はコカインを示す隠語。
※上映素材は香港電影資料館が所蔵する貴重なデジタルベータカム(SD画像)となります。

ポリス・ストーリー 香港国際警察 警察故事
監督:成龍 出演:成龍 林靑霞(ブリジット・リン)




2月3日(木)14:00
2月6日(日)14:00
2月12日(土)11:00

1985年/35ミリ/カラー/104分/日本語字幕付き

© 2017 CJ E&M CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

不本意な出来に終わったハリウッドでの主演作『プロテクター』(1985、ジェームズ・グリッケンハウス)の雪辱を果たすべく成龍(ジャッキー・チェン)が監督、主演を手がけた刑事アクションで、シリーズ化されるなど彼の代表作となった。バラックをなぎ倒して疾走するカーチェイス、走行するバスを利用したスタントシーン、ガラスにこだわったショッピングモールでの肉弾戦など、成龍全盛期の驚異的なアクションに瞠目させられる。1985年日本公開時のバージョン(字幕版)による上映。
※国立映画アーカイブ収蔵作品

霊幻道士 殭屍先生
監督:劉觀偉(リッキー・ラウ) 出演:林正英(ラム・チェンイン) 元華(ユン・ワー)




2月4日(金)11:00
2月6日(日)11:00
2月10日(木)14:00

1985年/35ミリ/カラー/97分/日本語字幕付き

© 2017 CJ E&M CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

『妖術秘伝・鬼打鬼』(1980)などクンフー映画と怪奇映画を融合させた路線を模索していた洪金寶(サモ・ハン)が製作を手がけたアクション・ホラー・コメディ。中国に古来より伝わる殭屍(キョンシー)をモンスターに見立て、秘術を駆使してその脅威に立ち向かう道士の活躍を描く。亜流作品を数多く生み出し、日本でもキョンシーブームが巻き起こるきっかけとなった。1987年日本公開。
※国立映画アーカイブ収蔵作品

男たちの挽歌[4K修復版] 英雄本色
監督:吳宇森 出演:張國榮(レスリー・チャン) 周潤發




2月13日(日)14:00
2月24日(木)14:00
2月27日(日)11:00

1986年/デジタル/カラー/96分/日本語字幕付き

© 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

組織の顔役・ホーは弟のために足を洗おうとするも、陰謀に巻き込まれ、兄弟の絆も引き裂かれる。龍剛の同原題作品のリメイクだが、呉宇森(ジョン・ウー)は自身の憧れのアクションスターの要素を取り入れてマークという人物を創造し、スローモーションなどを駆使して今でも語り継がれる数々の名場面を残した。呉宇森と周潤發(チョウ・ユンファ)の名を世界に知らしめるとともに、“香港ノワール”と称される流れの発端となった記念碑的な作品。1987年日本公開。2015年に4K修復された版を日本初上映。

ワンス・アポン・ア・タイム 天地大乱 黃飛鴻之二男兒當自強
監督:徐克 出演:李連杰 關之琳(ロザムンド・クワン)




2月2日(水)14:00
2月5日(土)14:00
2月11日(金・祝)11:00

1992年/35ミリ/カラー/108分/日本語字幕付き

© 2010 Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

李連杰(ジェット・リー)が実在の武術家・黄飛鴻に扮したシリーズ第2作。清朝末期を舞台に、孫文(そんぶん)率いる革命派の動向など、異文化の複合と衝突のなかで揺れ動く中国の近代史を一大娯楽活劇に仕立てた徐克(ツイ・ハーク)の力量が光る。李と甄子丹(ドニー・イェン)の超人的な体技とワイヤーワークを融合させたアクションの視覚的完成度においても一つの到達点を示した作品。1993年日本公開。なお、ソフト化の際にはシリーズタイトルが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ」に改題された。
※国立映画アーカイブ収蔵作品

花火降る夏 去年煙花特別多
監督:陳果 出演:何華超(トニー・ホー) 李燦森(サム・リー)




2月4日(金)14:00
2月9日(水)14:00
2月11日(金・祝)14:00

1998年/35ミリ/カラー/129分/日本語字幕付き

©Courtesy of Focus Films Limited

『メイド・イン・ホンコン』(1997)に続く陳果(フルーツ・チャン)の“返還3部作”の2作目。中国返還を前にした香港住民の不安と焦燥を、青を基調とした冷たく荒涼とした映像のなかに描き出す。英国軍解体により職を失いヤクザとなったガーインは、同じくヤクザの弟・ガーシュンや元部下たちと銀行強盗を企てるが…。前作に続き劉徳華(アンディ・ラウ)が製作総指揮にあたり、主題歌も歌っている。2000年日本公開。
※国立映画アーカイブ収蔵作品

香港映画発展史探究

ブルース・リーやジャッキー・チェンが縦横無尽に活躍する武術アクション、“香港ノワール”と称されたジョン・ウーやジョニー・トーのスタイリッシュな犯罪映画、ホイ3兄弟やチャウ・シンチーなど才気渙発な喜劇人による広東語コメディ、そしてアン・ホイやツイ・ハークら“香港ニューウェーブ”の個性的な作品たち。「香港映画」と聞けば、映画ファンはたちどころにこのような、1970年代以降の輝かしい作品群を思い浮かべることでしょう。逆にそれ以前の香港映画が日本で紹介される機会は、限られてきました。しかし他の映画大国と同様に、香港映画にも長くユニークな歴史がありました。
香港での映画製作が産業として本格的に発展するのは、トーキーが到来し広東語(粤語)映画が出現した1930年代以降のことでした。1930-40年代には、2つの戦争(日中戦争、国共内戦)により、当時の中国映画の中心地・上海から多くの映画人が流入して北京語(国語)映画も多数製作されるようになり、中国語映画製作の大きな拠点として成長します。1950年代後半には、シンガポールで財を成した2つの大会社、国泰機構(キャセイ・オーガニゼーション)と邵氏兄弟有限公司(ショウ・ブラザーズ)がともに香港で“垂直統合”を成し遂げ、東南アジアの市場向けに北京語映画を多数製作して一時代を築きます。そして1970年代以降は、再び広東語映画が復権し、多くの娯楽映画や芸術的作品が、世界中で上映されるようになりました。香港映画のこうしたダイナミックで複雑な変遷は、20世紀の香港が中国大陸に隣接する英国の植民地として、東洋と西洋を結ぶ貿易拠点であり文化の交差点でもあり続けてきたという、地政学的なユニークさと不可分のものでした。
本企画は、戦前の社会派作品『女性の光』(1937)から1997年の中国への返還を題材に採った『花火降る夏』(1998)まで、香港電影資料館所蔵作品を中心に、各時代の代表作や復元作品をまとめて上映する試みです。日本では未上映または上映機会の少ない粤劇(広東オペラ)の映画化や文芸映画、メロドラマ、また“香港ニューウェーブ”の知られざる作品など、香港映画を形作ってきた豊かな水脈を発見する機会になることでしょう。


上映スケジュール

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