通常上映

 
佐藤忠男選

日本映画セレクション

総合図書館収蔵の日本映画の特集。「日本映画名作100選」(佐藤忠男著)および「キネ旬ベストテン」より。

会期:令和5年12月6日(水)~24日(日) ※休館日・休映日除く
観覧料:500円(大人)400円(大学生・高校生)300円(中学生・小学生)

※定員制。各回入替制。 
※チケットはすべて当日券。前売り券はありません。(チケットの販売は上映の1時間前からです。)
※障がい者の方、その介護者(1人)は無料。福岡市在住の65歳以上の方は250円。(手帳や保険証などの原本の提示が必要です。)
※「わたすクラブ」会員の方は250円。(会員証の原本の提示が必要です。)


王将 




12月7日(木)11:00
12月16日(土)11:00

1948年 モノクロ 35ミリ 90分 大映京都

監督:伊藤大輔
出演:阪東妻三郎 水戸光子
明治の終わり、大阪・天王寺の長屋に住む坂田三吉は無類の将棋好き。プロ棋士を交えた大会に参加し勝ち上がった三吉は関根七段と対戦、反則負けとなる。これを機にプロになる決意をした三吉は関西を代表する棋士へと昇り詰める。そして関根八段と名人の座をかけて対戦する。実在の棋士坂田三吉の半生を映画化したもの。伊藤大輔監督の傑作であり、主演の阪東妻三郎の熱演が素晴らしい。

お嬢さん乾杯 




12月8日(金)11:00
12月17日(日)11:00

1949年 モノクロ 16ミリ 89分 松竹大船

監督:木下恵介
出演:佐野周二 原節子
自動車整備工場を経営する石津圭三は仕事一辺倒で、34歳で独身だった。ある日取引先から旧華族の令嬢・泰子との縁談を持ちかけられる。身分が違うと嫌がる圭三だったが、会ってみると泰子の美しさに一目惚れ。しかし二人の交際はギクシャクしたものだった。戦後の華族制度の廃止、新興成金の誕生などの社会背景を盛り込んだコメディタッチの作品。原節子が木下恵介監督作品に出演した唯一の映画。

西鶴一代女    




12月6日(水)14:00
12月16日(土)14:00

1952年 モノクロ 35ミリ 137分 新東宝

監督:溝口健二
出演:三船敏郎 田中絹代
御所つとめのお春は想いを寄せる公家の所業のために御所を追放される。その後大名の妾になるが、島原の廓に売られるなど転落の人生を歩んでいく。井原西鶴の「好色一代女」を映画化したもので、田中絹代が主人公のお春を円熟した演技で表現する。「雨月物語」と並ぶ溝口健二監督の最高傑作と評価される、日本映画の名作である。

山の音 

 




12月9日(土)11:00
12月20日(水)14:00

1954年 モノクロ 35ミリ 93分 東宝

監督:成瀬巳喜男
出演:山村聰 原節子
尾形修一と菊子の間に子どもはなく、修一は浮気をしており、夫婦関係は冷え切っていた。修一の父・信吾はかいがいしく舅夫婦の世話をする菊子が不憫だった。ある日菊子は外出するが、それは修一の子どもを堕すためだった。川端康成原作の映画化。菊子と信吾の間に漂うエロチックでサスペンスに満ちた関係が本作の特徴である。成瀬監督らしくない題材だが、監督の代表作の1本と評価は高い 。

早春 





12月7日(木)14:00
12月17日(日)14:00

1956年 モノクロ 35ミリ 143分 松竹大船

監督:小津安二郎
出演:池辺良 岸恵子
会社員の杉山正二は結婚8年目。子どもを亡くして以来妻の昌子とは倦怠期だった。ある日杉山は通勤仲間と一緒にハイキングに行き、若い女性千代と知り合い、デートするようになる。小津監督の第47作。小津は52年に鎌倉に転居し、脚本家野田高梧の家に出入りする若者たちとの交流から生まれた作品。一種の「サラリーマン」ものだが、家族の崩壊と再生という内容では「東京物語」とも通じている。

夜の河 




12月8日(金)14:00
12月20日(水)11:00

1956年 カラー 35ミリ 102分 大映京都
監督:吉村公三郎
出演:山本富士子 上原謙

京染の老舗「丸由」の娘・きわはろうけつ染めを学んでいた。新作のデザインのために奈良に訪れたきわは、大学教授の竹村と知り合う。竹村には妻がいたが、二人は次第に惹かれあっていく。本作は吉村監督が自ら企画した初のカラー作品。撮影の宮川一夫による美しい京都の街並みや風景が素晴らしい。

にあんちゃん 

 




12月10日(日)11:00
12月22日(金)14:00

1959年 モノクロ 35ミリ 100分 日活
監督:今村昌平
出演:長門裕之 松尾嘉代

昭和28年、佐賀県の小さな炭鉱で暮らす一家を描いた作品。原作は安本末子という10歳の少女の日記で、彼女は映画に登場する4人兄妹の末っ子。炭坑で父親が死亡し、不況の影響で家族がバラバラになりながらも懸命に生きていく姿が感動的に描かれる。文部大臣賞を受賞した傑作。

青春残酷物語 




12月10日(日)14:00
12月21日(木)11:00

1960年 カラー 35ミリ 96分 松竹大船

監督:大島渚
出演:桑野みゆき 川津祐介
大人の世界に興味を持つ女子高生・真琴は、見知らぬ男性の車に乗り、ホテルに連れ込まれそうになる。そこを助けた大学生の清は、男から金を取る。味をしめた二人は中年男を引っかけて金を脅し取っては遊び歩く。当時の社会背景を織り込みながら若者達の無軌道な暴走を描いた作品で、大島渚の監督第二作であり、出世作となった。

非行少女 




12月9日(土)14:00
12月21日(木)14:00

1963年 モノクロ 35ミリ 124分 日活

監督:浦山桐郎
出演:浜田光夫 和泉雅子
東京で仕事に失敗した三郎は故郷の金沢に帰り、幼馴染の若枝と出会う。昼間から酒を飲む父親と、継母を嫌う若枝は荒んだ生活をしていた。三郎は彼女を立ち直らせようと励まし勉強を教える。浦山監督の監督第二作。貧しい家庭環境の中でも希望を失わずに自立しようとする若枝を和泉雅子が熱演し、モスクワ映画祭金賞など高く評価された。

心中天網島   




12月14日(木)11:00
12月23日(土)11:00

1969年 モノクロ 35ミリ 102分 表現社・ATG

監督:篠田正浩
出演:岩下志麻 中村吉右衛門
紙屋治兵衛は妻子のある身だが、遊女の小春と深い仲になる。小春を身請けしようとする治兵衛だが、金の工面ができない。そこに恋敵の太兵衛が小春を身請けするという話を聞く。近松門左衛門の浄瑠璃の映画化作品。詩人の富岡多恵子が現代語訳を行い、作曲家の武満徹が参加するなど、映画では多くの実験的試みがなされている。篠田正浩監督の代表作の1本。

私が棄てた女    

 




12月15日(金)11:00
12月24日(日)11:00

1969年 モノクロ・カラー 35ミリ 116分 日活

監督:浦山桐郎
出演:河原崎長一郎 浅丘ルリ子
サラリーマン吉岡は社長の姪のマリ子と結婚の予定だった。吉岡はある日学生時代に付き合って捨てた女・ミツが自分の子どもを堕胎していたことを知り、慙愧の念にかられる。田舎から東京に出てきて、学生運動に挫折し出世を目指す吉岡には当時の脆弱なインテリ層が投影される。「人生」とはなにか、「愛」とはなにかを浦山監督が斬新な映像感覚で問いかける。

ツィゴイネルワイゼン 





12月13日(水)14:00
12月23日(土)14:00

1980年 カラー 35ミリ 144分 シネマ・プラセット 

監督:鈴木清順
出演:原田芳雄 大谷直子
青地と中砂は旅先で芸者の小稲と出会う。1年後中砂が結婚した女性・園は小稲にそっくりだった。園は豊子を産んで亡くなる。そして小稲が豊子の乳母となるのだった。内田百閒の小説などを元にした作品。現実とも幻想ともつかない極彩色の映像美の世界が描かれている。キネマ旬報ベストワン、日本アカデミー賞最優秀作品賞、ベルリン映画祭審査員特別賞などを受賞し、鈴木清順監督の代表作となった。

裸足のピクニック   




12月15日(金)14:00
12月22日(金)11:00

1992年 カラー 16ミリ 92分 ぴあ
監督:矢口史靖
出演:芹川砂織 浅野あかね

高校生の鈴木純子は電車でキセルが見つかり車掌に捕まる。隙をみて逃げ出す純子だがカバンの中身を落としてしまい、学校や家に通報されてしまう。家に帰れない純子は祖母の住む郡山に向かう。「ウォーターボーイズ」(01年)等のヒット作で知られる矢口史靖監督の長編映画デビュー作。純子が次々に不条理な不幸に見舞われていくブラックコメディー。PFFスカラシップ作品として製作された。

三文役者    

 




12月14日(木)14:00
12月24日(日)14:00

2000年 カラー 35ミリ 126分 近代映画協会
監督:新藤兼人
出演:竹中直人 荻野目慶子

新藤監督の作品に欠かせない名俳優だった殿山泰司の生涯を描いた作品。殿山泰司は近代映画協会の設立のメンバーの一人であり、生涯で250本以上の映画に出演。自らを「三文役者」と呼び、酒を愛し89年に肝硬変で亡くなった。本作は近代映画協会の設立50周年記念として製作されたものだが、殿山泰司の愛すべき人生にオマージュを捧げた作品でもある。

上映スケジュール

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